今回は、わたしが『みんなの日本語初級』の授業で使っている(使っていた)例文(第11課〜第15課)をご紹介します。
全ての文型をカバーしているわけではないので、ご了承ください。また、インドネシア、特にイスラム教徒が多い町での状況を反映した例文が大半です。そのまま使うのが難しい場合でも、例文づくりのヒントになれば幸いです。
目次の例文をクリックしていただければ、補足説明もご覧いただけます。
なお、最近はわたし自身、『みんなの日本語初級』を使って授業をすることはほぼなくなり、代わりに『まるごと』をよく使っています。
第11課
1.携帯が何台ありますか。
携帯を2台以上使っている学生が多く、答えにバリエーションがあっておもしろいです。
2.家にジルバブが何枚ありますか。
ジルバブ(jilbab)はイスラム教徒の女性が、髪などを覆うためのスカーフですね。だいたい「多すぎてわからない」と言われますが……。
3.何時間断食をしますか。(断食月)
「断食」は未習なので、事前に導入しています。インドネシア語で「puasa」です。わたしの住んでいる町だと、13時間が一般的なようです。
4.ムスリムは1日に5回お祈りをします。
そのままですが、生活に密着した例文だと思います。
5.1か月に何回プルサを買いますか。
「プルサ」は「pulsa」、プリペイド携帯などの残高です。日本語にするのも難しいので、「プルサ」と言い、「日本では携帯の料金は後払いが普通」ということも伝えています。
1回という学生もいれば、4回以上(毎週)という学生もいて、なかなか興味深いです。
第12課
1.ジョコウィさんはお金持ちじゃありませんでした。
「ジョコウィさん」はインドネシアの大統領。裕福な家庭で生まれ育ったわけではなかったんだとか。
「お金持ち」は未習なので、事前に導入しています。インドネシア語で「orang kaya」です。
2.スマトラは日本より大きいです。
「スマトラ」はスマトラ島。約473,000km2と、日本の378,000km2を余裕で上回っています。
3.日本はスマトラより人が多いです。
人口は、日本のほうが上。データが古いのですが、2010年の時点で、スマトラ島の人口は5000万人ぐらいだったそうです。
同年の日本の人口は1億2,800万人。面積を考えると、人口密度の差がえらいことになってそうです。
4.パダン料理でルンダンが一番好きです。
「パダン」は西スマトラ州の州都。パダン料理はインドネシア全国で食べることができます。
中でも「ルンダン」という牛肉のココナッツミルク煮は、パダン料理の中でも大人気。
2011年、2017年のCNNの調査で、世界一美味しい料理にまで選ばれてます!
まあ、2011年の回答者はインドネシアの方が大半だったらしいし、2017年の調査もルンダン・ナシゴレン(インドネシア料理)のワン・ツーフィニッシュだったそうです……。
第13課
1.水を飲みたいです。ご飯を食べたいです。(断食中)
「kalau lagi puasa(断食中だったら)」と言ってから例文を提示するとスムーズかと思います。
2.モスクへお祈りに行きます。
「モスク」「お祈り」は未習なので、事前に導入しています。それぞれ、インドネシア語で「masjid/mesjid」「salat/sholat」です。
第14課
1.前の髪を少し切ってください。
美容院(salon)で、という状況設定です。
2.携帯を貸しましょうか。プルサを送りましょうか。
「プルサ」は「pulsa」、プリペイド携帯などの残高です。自分の残高を、他の番号に送ることができます。
3.○○さんは今、お祈りをしています。
「お祈り」は未習なので、事前に導入しています。インドネシア語で「salat/sholat」です。
「○○」には、「ブディ」という名前を使うことが多いです。日本で言う「太郎」のような感じです。
第15課
1. 昼、水を飲んでもいいです。(断食月でなければ)
「断食月でなければ(kalau bukan bulan puasa)」と言ってから例文を提示するとスムーズかと思います。
2. 昼、水を飲んではいけません。(断食月)
「断食月だったら(kalau bulan puasa)」と言ってから例文を提示するとスムーズかと思います。
3.モスクで彼(彼女)に会ってはいけません。
学生が作ってくれた例文です。インパクトが強く、忘れられません。
「モスク」は未習なので、事前に導入しています。インドネシア語で「masjid/mesjid」です。
まとめ
今回は、わたしが『みんなの日本語初級』の授業で使っている(使っていた)例文(第11課〜第15課)をご紹介しました。
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