[まるごと日本のことばと文化]「かつどう」と「りかい」の組み合わせをいろいろ試した結果

サト
こんにちは! インドネシアで日本語教師をしているサトです。

『まるごと 日本のことばと文化』という教科書には、同じレベルに「かつどう」と「りかい」の2冊があります。

初中級レベル以降は1冊です。

わたしは今まで、「かつどう」と「りかい」を組み合わせたり、組み合わせないで単独で使ったりといろいろ試してきました。

次に新規で開講するクラスでは、「かつどう」とeラーニングの組み合わせを試そうとしています。

この記事では、『まるごと』の「かつどう」「りかい」をいろいろな方法で使ってみて感じたメリットやデメリットをシェアします。

ついでに、「かつどう」とeラーニングとの組合わせに至った経緯も書いています。

 

いろいろ試した理由

『まるごと』を使い始めてから(たぶん)3年ぐらい経ちます。

その中で、1つのレベルを終えるのに、「かつどう」と「りかい」を次の通り使ってきました。

  1. 「かつどう」のみ
  2. 「りかい」のみ
  3. 「かつどう」を全部終えてから「りかい」
  4. 課ごとに「かつどう」→「りかい」

 

『まるごと』には次のように書いてあるので、できれば「かつどう」も「りかい」も使うのが一番なのですが……。

 

「かつどう」と「りかい」はどちらも主教材です。

(中略)両方で学べば、総合的に日本語力をつけることができます。

(『まるごと日本のことばと文化』より引用)

 

なぜいろいろ試したかというと、いかに学生に負担をかけずに、効果的な学習を提供できるかを模索していたからです。

サト
今も模索中だったりしますが……。

負担というのは、主に金銭面での負担です。

わたしは大学と日本語学校で仕事をしているのですが、特に日本語学校の方は、あまり授業料が高いと学生の募集に支障が出るんですよね……。

あとは2冊使うと授業回数も増えるので、金銭面もですが、心理的な負担にもつながりそうです。

 

いろいろ試した結果

では、単独/組み合わせでの使用を試してみてどうだったか、それぞれ詳しく書いていきます。

書き方がバラバラなので、後で表にまとめています。

 

単独での使用

 

①「かつどう」のみ

まず、「かつどう」のみ使用した場合。

次のようなメリットを感じました。

メリット
  • 音声インプットが多く、話す練習もあるので、第二言語習得理論を実践しやすい
  • 最初から最後までローマ字があるので、とっつきやすい
  • 「りかい」より値段が安いので、学生の金銭的負担も減らせる

 

その反面、次のようなデメリットも。

デメリット
  • ひらがなやカタカナがなかなか定着しない
  • 学生から、「文法をもっと説明してほしい」という声が出た

 

ひらがなやカタカナは補助教材で毎回少しずつ取り扱っていたのですが、それでもなかなか難しく。

初級1に進んで、文字を読むのに苦労する学生の姿を見るのはつらいものがありました。

なので、今は「かつどう」だけを使う授業はやっていません。

 

②「りかい」のみ

「りかい」だけを使った授業をしていたときは、こんなメリットを感じました。

メリット
  • 2冊使うよりは教科書代が安く済む
  • 「文法をもっと説明してほしい」という声はなかった

ですが、『まるごと』のセミナーで次のお話を聞いてからは、「りかい」だけを使うのをやめてしまいました。

 

セミナーで聞いたお話(要約)
  • 「かつどう」と「りかい」を使う際は「かつどう」から使うのがいい
  • 「かつどう」の聴解で、いろいろ推測しながら聞くのが大切
  • 「りかい」から入ると推測することなく答えが分かってしまう

 

「りかい」だけを使うな、とは言われていないのですが、やっぱり推測するのが大切であれば、その機会はなくしたくないと思ったのです。

実際、「りかい」は「かつどう」に比べると、音声インプットも少なめです。

単純に、音声ファイルのサイズを比べてみると、次の通りでした。

かつどう りかい
入門 287MB 117MB
初級1 325MB 187MB
初級2 390MB 227MB

 

『まるごと』には同じ内容でBGMつきの音声とそうでない音声があり、特に「かつどう」に多いのですが、それを差し引いても「かつどう」の方が音声が多い気がします。

特に、音声を聞いて推測する活動の豊富さは、「かつどう」に軍配が上がると感じます。

組み合わせでの使用

ここからは、「かつどう」と「りかい」組み合わせでの使用です。

③「かつどう」を全部終えてから「りかい」

初めに試した組み合わせは、「かつどう」が全部終わってから「りかい」に進むというものでした。

例えば、入門の「かつどう」が終わってから入門の「りかい」に入る、ということですね。

これだと教科書2冊を同時に買う必要はないので、学生の金銭面での負担を少し抑えることができます。

サト
ただし、学生のモチベーションが上がらないという問題がありました……。

入門と初級1をこの方法で進めたクラスがあったのですが、初級2に入る段階で「りかい」だけでいいという声が出たんです。

「かつどう」は使わず、はじめから「りかい」だけで勉強して、さっさと次に進みたい、と。

わたしの職場の場合、たとえば「かつどう」の第1課が終わってから、「りかい」の第1課に入るまでに3か月近くかかっていました。

せっかく同じトピックを勉強しても結局忘れてしまう学生が多かったんです。

サト
なので、余計に「かつどう」を使う意義が感じられなかったんだと思います。

復習を頻繁にするとか、もう少し早く進めるとかしていれば、また状況も違っていたのかもしれません。

ともかく、これを最後に「かつどう」が全部終わってから「りかい」というのも、やめてしまいました。

ちなみに、国際交流基金ニューデリーさんのサイトを見る限りでは、入門レベルだけこの方法を取っているようです。

 

④課ごとに「かつどう」→「りかい」

満を持して(?)、課ごとに「かつどう」→「りかい」と進める方法も採用しました。

次のようなやり方ですね。

「かつどう」1課→「りかい」1課→「かつどう」2課→「りかい」2課……

このやり方では、こんなメリットを感じました。

 

メリット
  • 文字学習が順調に進む
  • 話すのもみんなうまくなる

 

ただ、やはりはじめに本を2冊買わないといけない上、授業回数も増えるからか、学生の募集には苦戦を強いられました。

 

メリット・デメリットまとめ

 

先ほどご紹介した①〜④について、メリット・デメリットを表にまとめてみました。予告通り(?)書き方がバラバラだったので……。

 

メリット デメリット
①「かつどう」のみ
  • 第二言語習得理論を実践しやすい
  • とっつきやすい
  • 費用負担減
  • 文字定着が進まない
  • 文法を勉強したい学生には不評
②「りかい」のみ
  • 文法も勉強したい学生も納得
  • 費用負担減(③④と比べて)
  • 推測する機会が奪われる
③「かつどう」を全部終えてから「りかい」
  • 費用負担減(④と比べて)
  • 学生のモチベーションダウン
④課ごとに「かつどう」→「りかい」
  • 日本語力アップ
  • 学生獲得に苦労

 

「かつどう」+ eラーニング

そんな紆余曲折を経てきたのですが、最近開講したクラスでは、「かつどう」とeラーニングを利用しています。

理由は、コロナでお財布事情が厳しくなっている中、できるだけ原価を下げたいというもの。

eラーニングというのは、「まるごと日本語オンラインコース」のことですね。こちらは無料です。

次のような流れで進めています。

流れ(例)
  1. 「かつどう」の1課の授業が終わる
  2. 各自「まるごと日本語オンラインコース」の「りかい」1課に取り組む(宿題)
  3. 次の授業の開始時に質問を受け付ける

 

②の宿題をちゃんとやってくれるか不安もあったのですが、今のところ順調です。

インドネシアでeラーニングをサポートするためにしていること

また、余談ですが、今後は『いろどり』の利用も考えています。やっぱり無料は大きい。

 

まとめ

この記事では、『まるごと』の「かつどう」「りかい」をいろいろな方法で使ってみて感じたメリットやデメリットをシェアしました。

絶対の正解というのはなく、学生のニーズを含めた状況次第だと思うのですが、ご参考になれば幸いです。

『まるごと 日本のことばと文化』のここがすごい! 3年使ってみた感想

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