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『まるごと 日本のことばと文化』のここがすごい! 5年使ってみた感想

サト
こんにちは! 日本語教師歴10年以上のサトです。

この記事では、『まるごと』を約5年使って感じたことをシェアしたいと思います。

なお、授業の活動のアイディアにお困りなら、『オンライン授業で使える日本語活動集90』という本もおすすめです!

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この記事を書いた人

サトと申します。

学生時代はインドネシアに留学。
2011年には運だけでインドネシアに日本語学校を設立しました。

10回以上の一時帰国を経て、日本滞在中に使うスマホのSIMを探すのが趣味になっています。あとeSIMの研究も大好物です。

よろしくお願いいたします!

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LINEMO

『まるごと』とは?

『まるごと』は、国際交流基金が作った日本語の教科書です。

『まるごと』公式サイトには、次のような説明があります。

『まるごと』では、実際に日本語を使ってコミュニケーションすることを目標にしています。

ただ文法や文型の知識を増やすことが目標ではありません。

どんな場面でどんなことができるようになるか、という「Can-do」を目標にして、現実の場面で使える日本語を学びます。

(『まるごと』公式ポータルページより引用)

2013年に「入門」レベルのものが日本で発行され、その後「中級2」までの9冊で完結しています。

『まるごと』シリーズ

  1. 入門かつどう
  2. 入門りかい
  3. 初級1かつどう
  4. 初級1りかい
  5. 初級2かつどう
  6. 初級2りかい
  7. 初中級
  8. 中級1
  9. 中級2

入門〜初級2は「かつどう」と「りかい」に分かれていますが、これも公式サイトに説明があります。

「かつどう」では日本語をたくさん聞き、話す練習を通して、コミュニケーションの実践力をつけることを目指します。「りかい」ではコミュニケーションに必要な日本語のしくみについて体系的に学ぶことができます。

(『まるごと』公式ポータルページより引用)

ということで、ざっくり言うと「かつどう」は「話す」「聞く」中心、「りかい」は文法や「読む」「書く」中心と理解しています。

たとえば入門の「かつどう」では、ひらがなやカタカナはすべてローマ字で読み方が示されていますが、同じレベルの「かつどう」では、ローマ字があるのは途中まで。

初級1の「りかい」では漢字の読み方も取り扱いますが、同レベルの「かつどう」では漢字コーナー自体がありません。

また、「りかい」では作文や読解の練習も多数ありますが、「かつどう」では数えるほどしかありません。

LINEMO

『まるごと』@インドネシア

そんな『まるごと』ですが、海を渡り(版権が)、ここインドネシアでも買えます。

2020年3月現在、「入門」から「中級2」のすべてが手に入るようになっています!!

ついに『まるごと』の大トリ、中級2もインドネシアで発売!

定価14万ルピアとシリーズで一番高いのですが、ルピアも弱くなってるので円換算すると1,000円以下です。

初の中級1のクラス開講が決まったばかりですが、中級2のクラスも開講できますように・・・。#まるごと日記 pic.twitter.com/KlClRQkM9H

— サト🇮🇩インドネシアで日本語学校設立 (@satotasdotcom) March 25, 2020

ちなみにわたしは、とある大学と、その大学と提携して設立した日本語学校の2箇所で授業を担当しています。

『まるごと』は、まず日本語学校の方で使い始め、その後大学でも一部の授業で採用。

次回のカリキュラム改定後は大学でも採用される授業が大幅に増えるかも、という状況で、個人的に楽しみにしております。

楽しみなのは、『まるごと』を使うメリットが盛りだくさんだからです。

LINEMO

『まるごと』のおすすめポイント

そんなわけで、『まるごと』をおすすめできるポイントを4点、ご紹介します。

1. どんな場面でどんなことができるようになるか(Can-Do)が明確

『まるごと』では、どんな場面でどんなことができるようになるか(Can-Do)が先にあり、それに必要な言葉や文法などを学びます。

このCan-Doは非常に具体的

『みんなの日本語初級』と比べてみると、違いがはっきりします。

『みんなの日本語初級』の『教え方の手引き』には、「学習目標」というものがあります。

たとえば、第22課の「学習目標」は、次の通り。

連体修飾を使って、人や者のより詳しい描写、説明ができる。

(『みんなの日本語初級Ⅰ 第2版 教え方の手引き』より引用)

以前はわたしもなんとなくそうか、と思ってしまっていたのですが……。

よくよくみると、どんな場面で、何のために連体修飾(名詞修飾)を使って、詳しく説明するのかということは述べられていません。

また、同書にある「学習項目」は、次の通り。

No.学習項目
1〜は 名詞修飾節+名詞です
2名詞修飾節+名詞は〜
3名詞修飾節+名詞を動詞
4名詞修飾節+名詞が〜
5辞書形+時間・約束・用事があります/ありません

何回「名詞修飾節」出すねん……とツッコミたくなってきます。

まあ、「学習目標」と一致してると言えば一致してますね。

その点、『まるごと』では、下記の通り、Can-Doが非常に明確です。

Can-Do自体がそういうものなのでしょうけど。

レベル例文Can-Do
初級1/A216朝ごはんを食べる人は10人です。アンケートを簡単な言葉で発表する
初級1/A217スポーツのとき使うものをあげます。自分の国のプレゼントの習慣について簡単に話す
初級2/A22赤いサリーを着ている人です。誰かの服や外見的な特徴を言う
初級2/A27踊りが教えられる人を探しているんですが。友だちにイベントのボランティアを頼む

わたし自身はこのような教科書で外国語を勉強したことがないのですが……。

少なくとも、『まるごと』で勉強した学生は、↑のような場面と、名詞修飾を結びつけやすいのではないかと思います。

また、(すべての文型ではないにしろ)ご覧の通り繰り返し学習する機会があるので、定着もしやすいものと思われます。

2.第二言語習得が実践可能

次に、第二言語習得が実践できる点。

第二言語習得は、ざっくり言うと「誰にでも効果のある外国語などの学習方法を研究している分野」です。

たとえば、「かつどう」を使う場合、ことばを導入したあと、すぐに聴解に入ります。

この聴解は、導入したことばを使っている部分が多く、「だいたいわかる」はずのレベル。

そして、Can-Doを達成するために必要なことばや文型を含んだ会話を、4つ以上聞くパターンが多いです。

だいたいわかるレベルの会話などをたくさん聞くことが、第二言語習得に必要な「大量のインプット」になっているわけですね。

そして、話す練習もあり、こちらが「(少量の)アウトプット」に当たります。

なお、第二言語習得を英語学習にどう活かすかを解説した記事もありますので、よろしければどうぞ。

3.フルカラー印刷

次は、(見ればわかるのですが)『まるごと』はフルカラー印刷。

サト
インドネシア版も例外ではありません!
Marugoto 05

これはテンションが上がります。わたしの。

いや、わたしだけじゃなくて、学生もテンションが上がるはず……。

たとえば『みんなの日本語初級』もインドネシアで出版されているのですが、2色印刷が限界です。

Marugoto 09
Marugoto 10

また、まだまだコピー天国のインドネシアでは、その2色印刷のものを白黒コピーしている学生もちらほら。

そんな中、このフルカラーは衝撃的と言ってもいいぐらいです。

学生も、家に帰ってからちょっと本を開いてみようかという気になるかも。

また、英語の教材なんかはインドネシアでもフルカラーのものが多く出回っているので、それに対抗?する意味でもありがたいです。

日本語学校で一般向けの授業を担当している者としては、特にそう思います。

サト
英語学校も、広い意味でライバルになるので!

4.サポートサイトが充実

最後に、『まるごと』は学習をサポートするサイトが充実しています。

公式サイトでは、音声ファイルがダウンロード可能。

本を持っていても持っていなくても、無料です!

サト
太っ腹すぎる。
Marugoto 06

また、eラーニングサイトもあります。

登録なしで利用できるMarugoto Plusもありますが、学生にはeみなとの方をおすすめしています。

Marugoto 11
Marugoto 12

eみなとは登録が必要ですが、学習の進捗をチェックすることが可能。もちろん、登録は無料です。

Marugoto 13

両方のサイトで、ゲーム感覚でことばや文法を学んだり……

Marugoto 14

ビデオを見たり……(字幕の有無も選べます)

Marugoto 15

ビデオの登場人物になりきって、ロールプレイをしたりできます!

画面の右下と左下にスピーカーのマークと「You」が出ているタイミングで話すことになっています。

Marugoto 16

わたしも試しながらテンション上がりっぱなしでした。

いや、学生のテンションも上がるはずですけど。

まとめ

そんなわけで、『まるごと』を3年ほど使って感じたことをまとめてみました。

サト
こんな教材で外国語を勉強できる学生がうらやましい!

……と思うとともに、日本語学校の役割も再考しなければならないなあ、という思いもあります。

本を買って、eラーニングサイトで完全に一人で勉強することも十分可能だからです。

インドネシア(のわたしが住んでいる町)では、まだまだ対面型の授業が好まれてはいるんですけどね。

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