この記事では、『まるごと 日本のことばと文化』の「かつどう」を使った授業例(と改善点)をご紹介します。
本当は「かつどう」と「りかい」を併用するのが理想的なんですが、本を2冊使うと学生の負担が増えてしまうので、泣く泣く1冊だけで授業を進めております。
また、「かつどう」と「りかい」に分かれているのは「入門」〜「初級2」までなのですが、基本的に同じ流れで授業を行っています。
※『まるごと』の導入をご検討中でしたら、まるごとの公式サイトでサンプルをダウンロードできます。
トピックの扉の写真
各トピックのはじめに、トピックに関連した写真があります。
「これ、何だと思いますか」とか「インドネシアと同じですか」と学生にインドネシア語で質問して、これから学習するトピックのイメージをふくらませてもらっています。
Can-Doの確認
トピックの扉の写真の下に、各課のCan-Doが書いてあります。
これを学生に読んでもらい、授業の目標を確認しています。
基本的にインドネシア語を読んでもらっていますが、日本語の方も、一部わかりそう、漢字が読めそうといった場合はそちらを読んでもらうこともあります。
語彙の導入
次に、語彙の導入です。
『まるごと』では、イラストや写真が「これでもか」というぐらい使われています。
また、語彙を読み上げたものや、語彙を使った文の音声ファイルも充実。
わたしは次のような手順で語彙を導入しております。
- イラストや写真を眺めてもらう。
- 音声を一通り流す。
- 再度音声を流す。1語1語止めて、意味を確認する(インドネシア語で)。
- 再度音声を流す。1語1語止めて、リピートしてもらう。
ビデオ
次に、「初級1」「初級2」の場合は、「まるごとプラス」というサイトのビデオを見ます。
「初級1」はトピック(2課)ごとに、「初級2」は課ごとにビデオがあるので、使いやすいんです。
ビデオを見ることで、どんな場面で使う日本語を学ぶのか、イメージが具体的になる、はず。
聴解
ビデオを見終わったら、次は聴解。
この聴解は、だいたいの内容がわかるはずのレベルです。
また、聴解は4-5問ということが多いのですが、Can-Doを達成するために必要な文型が何度も出てきます。
たとえば、「遅れた理由を言って謝る」というCan-Doでは、次のようなセリフを含む会話を聞くことになります。
- ちょっと時間を間違えて……。
- ちょっと道に迷って……。
- ちょっと渋滞で……。
(『まるごと日本のことばと文化 初級1 かつどうより引用)
ちなみにこの遅れてる人、タイラーさんという人なんですが、遅れるばかりでなく、時間に間に合ったパターンの問題も(1問だけ)あります。
タイラーさん=「遅れるキャラ」という不名誉なイメージが定着しないようにとの配慮でしょうか。
ルールを発見しましょう
聴解が終わったら、Can-Do達成に必要な文型を学ぶ「ルールを発見しましょう」というコーナーに移ります。
聴解で何度も耳にした文型を意識的に取り扱うわけですね。
たとえば、こんな問題があります。
- でんしゃが(とまります→ )、1じかんぐらい おくれました。
- ちょっと バスを(まちがえます→ )……。
- すごい あめ( )おくれました。
(『まるごと日本のことばと文化 初級1 かつどうより引用)
ちなみに同じコーナーに、動詞の変化も書いてあります。
上の問題なら、「止まります」「間違えます」のて形が書いてあるわけですね。
なので、学生はそれを見ながら答えることができます。
ただ、定着がいまいち、というのが正直なところ……。
なので、わたしの場合は、「りかい」の文法問題をGoogleフォームにして、解いてもらっています。
この「ルールを発見しましょう」のコーナーは、「入門」にはありません。
Can-Doの会話
いよいよ総仕上げとも言える、Can-Doの会話です。
まずは会話の例を聞き、学生に実際に会話してもらいます。
聞くだけでなく、リピートやシャドーイングをすることもあります。
毎回リピートやシャドーイングをしていたときもあったのですが、「飽きたよ先生」という空気になるので、ちょっとつらいところです……。
また、会話のイメージを明確にするために、会話の前にもう一度ビデオを流すこともあります。
ちなみに会話のチェックは、その場でわたしがやっています。
待っている学生には、他の人と会話するように促していますが、どうしても空き時間ができてしまうので、ここはなんとか改善したいところ……。
録音をGoogle Classroomでチェックしていたこともあるのですが、わたしのフィードバックを読んでいるのか読んでいないのかよくわからず、やめました。
Can-Doチェック
課が終わるごとにCan-Doチェックをします。
Can-Doごとに、学生が3段階で自己評価をし、コメントも書くというもの。
どんな勉強をすればいいか、自分で考えるきっかけになるんだそうです。
生活と文化
トピックの最後に「生活と文化」のコーナーがあります。
例えば、先ほどご紹介した「遅れた理由を言って謝る」というCan-Doは、「でかける」というトピック。
このトピックの「生活と文化」は、「まちあわせ」がテーマで、渋谷駅のハチ公や、東京駅の銀の鈴の写真が載っています。
どちらもわたしには馴染みのない場所なので、あまり話がふくらみませんでした。
そして、写真の下にはこんな質問も。
あなたは どこでともだちに会いますか。どのぐらい まてますか。
(『まるごと日本のことばと文化 初級1 かつどうより引用)
ここで盛り上がってトピックを締めくくることもできる、かもしれません。
まとめ
この記事では、『まるごと 日本のことばと文化』の「かつどう」を使った授業例をご紹介しました。
いつもやっていることを振り返る、いい機会になりました。
改善点も見えてきましたしね。
ご参考になれば幸いです!