わたしはインドネシアの大学と日本語学校で仕事をしています。
日本語学校では『まるごと』を3年ぐらい使ってきたのですが、このたび、一部を『いろどり』に切り替えることにしました。
この記事では、『まるごと』を『いろどり』に切り替えた理由をシェアします。
ちなみに、大学の方では2020年9月開始の新学期から、正式に『まるごと』が採用されています。
なお、授業の活動のアイディアにお困りなら、『オンライン授業で使える日本語活動集90』という本もおすすめです!
『まるごと』を『いろどり』に切り替えた理由
では、『まるごと』を『いろどり』に切り替えた理由をご紹介しますね。
5つあります。
- 無料で手に入る
- ダウンロードができる
- 『まるごと』と同じ(かそれ以上の)学習効果が期待できる
- 使い方が細かく明示されている
- JFT-Basic対策にもなる
1つずつ、見ていきましょう。
①無料で手に入る
まず、無料で手に入る点。
これが一番大きいかもしれません。
コロナでお財布事情が厳しいのか、学生数が減ってきているので……。
多少なりとも、原価を減らせるのはありがたい限りです。
ちなみに、今のところ『いろどり』は、初級1と初級2が出ていますが、それ以外のレベルについては、今も『まるごと』を使っています。
②ダウンロードができる
それから、『いろどり』はPDFをダウンロードできます。
これ、何がありがたいかというと、次のような手間が省けるんですね。
- 注文
- 在庫管理
特に注文の手間が省けるのは助かります。
『まるごと』の場合、コロナでオンライン授業が始まってからは、ネット通販サイトから各学生の自宅に直送してもらってまして。
学生の自宅に本が届いたら、本に間違いはないか確認しないといけませんし。
その点、『いろどり』なら、リンクをシェアして終了。
あと、売り切れの心配もしなくてもいいので、心理的負担も減っています。
③『まるごと』と同じ(かそれ以上の)学習効果が期待できる
……と思われたかもしれませんが、もちろんそんなことはありません。
『いろどり』は、『まるごと』と同じような学習効果が期待できるんです。
音声インプットを重視していますし、学習目標となるCan-doも『まるごと』に似ています。
また『まるごと』にはなかった次のコーナー(?)もあります。
- 文法ノート
- 日本の生活TIPS
文法ノートは、各課のCan-do達成に必要な文法項目を日本語と媒介語で解説しているもの。
日本の生活TIPSは、日本文化や生活に関するあれこれをこれまた日本語と媒介語で説明しているものです。
『まるごと』(特に「かつどう」の方)を使っていると、「文法をもっと説明してほしい」という学生の声もチラホラ聞かれました。
④使い方が細かく明示されている
それから、使い方が細かく明示されている点。
ことばの導入でも、『まるごと』と『いろどり』とでは、指示に次のような違いがあります。
『まるごと*』:「聞いて言う」意味のアイコン *入門〜初級2
『いろどり』:「 聞く」→「聞いて言う」→「聞いて選ぶ」など
また、Can-doの会話は、次のようになっています。
『まるごと*』: 会話例 *入門〜初級2
『いろどり』: 会話例と指示(「聞く」→「シャドーイング」→「会話」など)
まあ、『まるごと』でも、ことばの導入やCan-doの会話の際には手を変え品を変え、いろいろやっています。
授業の動画や『教え方の手引き』も参考にしつつ。
ただ、教科書に書いてある指示が明確だと、他の先生に授業をお願いするときも楽なんですよね。
ちなみに指示は、媒介後でも書いてあります。すばらしすぎる!
『まるごと』については、インドネシア語で使い方を作ったりもしたのですが、『いろどり』についてはその必要もありません。
あと、学生が自習する際にも役に立ちそうですね。
⑤JFT-Basic対策にもなる
最後に、JFT-Basic(試験)の対策にもなる点。
これは特定技能ビザ取得の条件の1つですね。
『いろどり』は『まるごと』と同じようにコミュニケーション力の向上が期待できるわけですが、その上試験対策もできるなんて、最高です。
ニーズごとに異なるクラスを開講するというのもいいのですが、1つのクラスでいろんなニーズをカバーできるというのは助かりますし。
まとめ
この記事では、『まるごと』を『いろどり』に切り替えた理由をシェアしました。
無料でダウンロードできて、コミュニケーション力を培いつつ試験対策にもなる。
そして、教師にとっても使いやすいと来れば、切り替えない理由はありませんでした。
「入門」も早く出ますように。
(ご参考 ; 『いろどり』公式サイト)