わたしはその昔、日本でギターのレッスンを受けたのですが、それが外国語学習の「行動中心アプローチ」的だったのではないかと思い、記事にしてみることにしました。
ギター触ったことないけど「YELL」を弾きたくなった
話は2008年にまでさかのぼります。当時のわたしは、就職活動を終え、インドネシアで日本語教師になることが決まっていました。
そして、日本で残された時間をどう過ごすか、というぜいたくな悩みを抱えていました。
会社はやめていて、時間はたっぷりありましたしね。
そして、インドネシアに行くまでにやりたいことのひとつに、「応援歌をギターで弾き語りできるようになりたい」というのをリストアップ。
というのも、わたしが後に担当する研修は、来日前の研修だったんです。試験に合格しないと日本に行けない、しかもその試験がめちゃくちゃ厳しい。
選んだ曲は、コブクロの「YELL」。わたし自身、元気をもらってきた曲ですし、何より新しい出発にぴったりの曲です。
ただ、当時のわたしはギターに触ったこともない、残された時間は3か月……ということで、音楽教室に通うことにしました。
目標と期限を決めて音楽教室へ
お世話になったのは、ヤマノ音楽教室。毎週30分のプレイベートレッスンでした。
先生に事情をお話しして、「3か月で『YELL』を弾けるようになりたい」という希望もお伝えしたところ、即OKが出まして。
「YELL」に必要なコードと、ストロークを、毎週少しずつ教えていただきました。
もちろん、自宅でも練習は欠かさず。
その結果、ちょうど3か月で、何とかかんとか形になったのです!
行動中心アプローチ的?
当時のわたしがやったことをもう一度書くと、「『YELL』が弾けるようになりたいという目標がまずあって、それに必要なものだけを練習した」ということになります。
これって、外国語学習で言えば「行動中心アプローチ」ではないかと、今になって思っております。
たとえば『まるごと 日本のことばと文化』(以下、『まるごと』)では、たとえば「昼ごはんについて話す」というような目標があって、それに必要なことばや表現を習います。
同じ文型でも、必要なら何回も出てきます。
たとえば、名詞修飾は『まるごと』シリーズで4回も取り扱うことになっています。
例えば、↓のような感じです。
- 目標:「アンケート結果を発表する」→例文「朝ごはんを食べる人は10人です」
- 目標:「プレゼントの習慣について話す」→例文「スポーツのときに使うものをあげます」
など
やはり文型ではなく、目標を最優先しているので、4回も出てくるわけですね。
詳しくは、↓の記事に書いております。
「目標」はやっぱり大切
ギターに話を戻しまして。
今でも、たまにギターに触りますが、やはり「最後の授業で学生にあの曲を紹介したい」という目標がまずあって、それに向けて練習する感じです。
そして、たとえば「YELL」で覚えたコードやストロークが、他の曲で使われることはざらにあり、このあたりも『まるごと』と通じるものがあるなあ、という印象です。
ちなみに、インドネシアに来てから、一時期こちらの音楽教室に通ったこともありました。
当初は指定の本どおりにレッスンが進んだのですが、コードをひとつひとつ学んでいき、そのコードで弾ける曲を練習していくという方法。
これって、発想が文型積み上げ式そのものやなあ、と今になって思います。
わたしには合っていなかったのか、当時、どんな曲を練習したかすら覚えていないという惨状です。
『まるごと』の場合、目標はわたしの学生から出てきたものでは(もちろん)ないのですが……。
学生自身が「日本語でこんなことがしたい」というのを掲げて、それに必要なものだけ学習を進めていけば、ものすごい効果が得られるのではないかと改めて思った次第です。
まとめ
この記事では、わたしのギターレッスンの体験を、外国語学習の「行動中心アプローチ」になぞらえてご紹介しました。
音楽と外国語学習はまた違うのですが、自分で目標を決めて、それに必要なことを学べば効果も高く、モチベーションも保てるというのは共通しているのではないかと思います。
そして、こんなこと書いてたら、またギター弾きたくなってきました。特に目標ないのに……。