AIの発展が目覚ましく、なんとなく「将来的には自分の仕事がなくなるのでは?」と心配されているかもしれません。
わたしも日本語教師をしていて、たまに不安になります。
でも、とある本を読んで、「生き残れる人材像」が見えました。
この記事では、『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』という本をご紹介します。
著者の新井 紀子氏について
ではまず、本書の著者である新井 紀子氏をご紹介しましょう。
新井氏は、次のような肩書をお持ちです。
- 数学者
- 国立情報学研究所教授
- 国立情報学研究所社会共有知研究センター長
- 一般社団法人「教育のための科学研究所」代表理事・所長
- 人工知能プロジェクト「ロボットは東大に入れるか」リーダー
いろいろありますが、「ロボットは東大に入れるか」プロジェクトを率いたことが一番目を引くのではないでしょうか。
ちなみに、次の動画にご本人が登場されています。
では、そんな新井氏が書いた本書は、どんな本なのでしょうか。
本書の良い点
わたしが感じた本書の良い点は、次のとおりです。
- AIと子どもたちが不得手としていることがわかる点
- 新井氏が描く未来予想がわかる点
- 「生き残れる人材像」を考えるヒントが得られる点
順に見ていきましょう。
①AIと子どもたちが不得手としていることがわかる点
まず、本書を読むと、AIと子どもたちが不得手としていることがわかります。
AIが不得意なことは、次のとおり、「読解」です。
(前略)教科書に書いてあることの意味を理解するのは苦手です。
新井紀子著『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』(2018年 東洋経済新報社)より引用しました。
理由についても詳しい説明があるのですが、本書に譲ります。
子どもも(大人も)読解が苦手
問題は、中高生も読解を苦手としている点なんです。
本書には、次のように書いてあります。
結論を先に申し上げますと、日本の中高校生の読解力は危機的と言ってよい状況にあります。
新井紀子著『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』(2018年 東洋経済新報社)より引用しました。
まさにタイトルにある「教科書が読めない子どもたち」問題ですね。
しかも、タイトルには出ていませんが、「子どもたち」だけでなく「多くの日本人」も同じ問題を抱えている可能性を、新井氏は指摘しています。
②新井氏が描く未来予想がわかる点
では、AIも人間も同じことが苦手だと、どんなことが起こるのでしょうか。
本書を読むと、新井氏が描く未来予想がわかります。
次のとおりです。
(前略)AIが人間の仕事をすべて奪ってしまうような未来は来ませんが、人間の仕事の多くがAIに代替される社会はすぐそこに迫っています。
新井紀子著『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』(2018年 東洋経済新報社)より引用しました。
このように、新井氏は、仕事の多くがAIに奪われてしまう未来を予想されています。
ちなみに、「AIが新しい産業を生んでくれるから、人間はそちらで働けば問題ない」といった楽観論にも、新井氏は懐疑的です。
理由は本書でご確認ください。
③「生き残れる人材像」を考えるヒントが得られる点
AIと人間が不得意なことや、新井氏が描く未来予想図を踏まえると、「生き残れる人材像」が見えてきます。
それが、本書の良い点の3点目です。
たとえば、(単純ですが)次のような日本語教師は生き残れるのではないかと思います。
- 自分に読解力がある
- 指導を通じて、学習者の読解力を上げることができる
自分に読解力があるのは大前提として、学習者の読解力を上げられる教師は、重宝されるでしょう。
というのも、読解力が危機的なのは日本だけではないからです。
新井氏は、次のように述べています(太字はサトによる)。
中高校生の読解力が危機的な状況にあるということは、多くの日本人の読解力もまた危機的な状況にあるということだと言っても過言ではないと思われます。さらに、それは日本人だけの固有の問題とも思えません。
新井紀子著『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』(2018年 東洋経済新報社)より引用しました。
また、わたしはインドネシアの大学で日本語教師をしていたのですが、同僚の先生がこんなことを言って嘆いていらっしゃいました。
「最近の学生は本を読みたがらないし、読んでもちゃんと理解していない」と。
たしかに頭の痛い問題ではありますが、だからこそ生き残るチャンスがあるとも言えます。
たとえば単語の暗記だけなら、すでに出ているアプリのほうが人間よりもいい仕事をする場合もあるでしょう。
忘れる頃に復習を促してくれるアプリもありますし。
でも、読解が苦手なAIには、読解の指導をすることもできませんからね。
指導方法は?
では、どのような指導をすればいいのでしょうか。
生活指導で読書習慣や学習習慣を変えさせたり、スマホを見る時間を減らしたりすればいいのでは?
……と思われるかも知れませんが、こういったことは、読解力とは関係ないんだそうです。
これは新井氏が行ったアンケートから明らかになっていて、本書では次のように述べています。
今のところ、「こうすれば読解力は上がる」とか「このせいで読解力が下がる」と言えるような因子は発見されなかったのです。
新井紀子著『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』(2018年 東洋経済新報社)より引用しました。
ただ本書では、新井氏が開発した「リーディングスキルテスト」を導入し、先生が指導を行った結果、生徒さんの読解力が上がったという報告があります。
また、本書の続編である『AIに負けない子どもを育てる』という本には、読解力を上げるための具体的な授業例も載っています。
なお、この「教師像」はあくまでわたしが考えたものです。
ご自身が本書を読むことで、また違った教師像が見えてくるかも知れません。
無料で内容を知る方法
ここまで本書の良い点をご紹介してきました。
「おもしろそうだし、読んでみたいけど、実際にお金を出すのはちょっと……。」と思われているかも知れませんね。
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まとめ
この記事では、『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』という本をご紹介しました。
本書の良い点は、次の3点でしたね。
- AIと子どもたちが不得手としていることがわかる点
- 新井氏が描く未来予想がわかる点
- 「生き残れる日本語教師像」を考えるヒントが得られる点
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