今回は、『みんなの日本語初級』第50課で謙譲語を扱うに際して、教室でやっていることをご紹介します。
最近は私自身、『まるごと』を使うことが多くなり、『みんなの日本語』を使う機会はめっきり減りましたが……。
49課までの復習
謙譲語を扱う前に何をやっているか。それは、第49課までの謙譲語の復習です。
たしかにがっつり扱うのは50課なのですが、それ以前にも、会話で表現としては出てきていますね。
例えば……。
1. いただきます。(7課)
2. また今度お願いします。(9課)
3. お待たせしました。(46課)
4. よろしくお伝えください。(49課)
など。というか、これで全部かも……。
とにかく、このあたりを、教え方の手引きに付属のCD-ROMに収録されているイラストを見せつつ、
・話し手と聞き手の関係
・誰がするか
……を学生に聞くようにしています。
3.は「待たせる」という、48課で(ほぼ)習いたての使役動詞が入っているので、余計分かりにくくなるかもしれませんが……。
逆に、「お願いします」なんかは、よく使う学生もいると思います。
「願う」の意味を説明する必要もありますが、学生が先生に何か頼むときに言いますね、と言えば分かりやすくなるのではないでしょうか。
……というメッセージを送ることで、少し心理的な負担をやわらげているつもりです。まあ、それでも定着はなかなか難しいんですが……。
プラス、「あの」アナウンス
ここまでだと、 ↓の記事とあまり変わりません。
正直、同記事の内容をけっこうコピペしております。
が! 実は、謙譲語の場合、もう1つあります。
これを読み上げると、クラスが盛り上がります。
だいたい、みんな聞いたことがあるのです。と言うより、何度も耳にしているのです。
アニメや日本のテレビ番組の動画をダウンロードして見ている、その合間合間で。
なので、「送る」の意味を説明した上で(インドネシア語ではmempersembahkan)、「テレビ局が、視聴者に対して、へりくだっているんですよ」という趣旨のことを言います。
ちなみに「ご覧のスポンサーの〜」はインドネシアでその名を馳せているだけなく、英語母語話者が「Grand sponsor Tokyo oh Chirstmas」って何?と聞いていたことがあるとか。世界的にも有名なフレーズ、かもしれません。
まとめ
というわけで。『みんなの日本語初級』第50課の謙譲語を扱う前に、それまでに習ってきた会話表現に含まれる謙譲語ををおさらいしている、という話でした。
大したことではないかもしれませんが、何もなしでいきなり「尊敬語の次は謙譲語? ……なんや、これ……」と思いながら勉強するよりはマシになると思います。
あと、↑でご紹介した会話のイラストは、『みんなの日本語初級 教え方の手引き』に付属のCD-ROMに入っています。昔は紙の本しかなく、いちいちスキャンしていたことを考えると、便利になったものだなあ、と思います。